住宅性能表示
KANTAROおうち研究室

住宅性能表示

平成12年に施行された住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)により、 住宅の性能をわかりやすく表示することを目的として「住宅性能表示制度」が制定されました。 建設住宅性能評価書が交付された住宅については、指定住宅紛争処理機関に紛争処理を申請することができます。 指定住宅紛争処理機関は、裁判によらず住宅の紛争を円滑・迅速に処理するための機関です。 建設住宅性能評価書が交付された住宅の紛争であれば、安い費用で(1件につき1万円)評価書の内容・請負契約・売買契約に関する当事者間の全ての紛争の処理を依頼することができます。
住宅ローンの金利優遇や地震保険の割引もうけることができます。また、やむ終えなく住宅を売却する際にも有利です。


大きく分けて10の項目について表示されます。

1) 構造の安定
2) 火災時の安全
3) 劣化の軽減
4) 維持管理・更新への配慮
5) 温熱環境(省エネルギー対策)
6) 空気環境(シックハウス対策・換気)
7) 光・視環境(窓の面積)
8) 音環境(遮音対策)
9) 高齢者への配慮
10) 防犯対策

以上の項目につき、設計段階に評価する「設計性能評価」と
竣工後に評価して表示する「建設性能評価」とがあります。

1. 構造の安定

目的:建物の損傷防止、倒壊等防止の措置が講じられているか

1-1 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)
地震に対する構造躯体の倒壊、崩壊等のしにくさを表示
・極めて希に(数百年に一度程度)発生する地震:震度6~7程度
  • 等級3:建築基準法でいう極めて希に(数百年に一度程度)発生する地震に対して1.5倍の力に耐えることができる
  • 等級2:建築基準法でいう極めて希に(数百年に一度程度)発生する地震に対して1.25倍の力に耐えることができる
  • 等級1:建築基準法でいう極めて希に(数百年に一度程度)発生する地震に対して耐えることができる
1-2 耐震等級(構造躯体の損傷防止)
地震に対する構造躯体の損傷のしにくさを表示
・希に(数十年に一度程度)発生する地震:震度5強程度
  • 等級3:建築基準法でいう希に(数十年に一度程度)発生する地震の1.5倍の力に対して損傷を生じない程度のもの
  • 等級2:建築基準法でいう希に(数十年に一度程度)発生する地震の1.25倍の力に対して損傷を生じない程度のもの
  • 等級1:建築基準法でいう希に(数十年に一度程度)発生する地震の力に対して損傷を生じない程度のもの
1-3 その他(地震に対する構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止)

建築基準法で定める免震建築物であるかどうかを表示

  • 免震建築物であることの確認とともに、免震建築物としての性能を維持していくために必要な免震材料等の維持管理ルールを設定しているかの確認も行います。
  • ここで免震建築物であることが確認された場合は、上記1-1及び1-2の評価は行いません。
1-4 耐風等級(構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止)
暴風に対する構造躯体の崩壊、倒壊等のしにくさ及び構造躯体の損傷の生じにくさを表示
・極めて稀に(500年に一度程度)発生する暴風による力:高さ10mの位置で平均風速が約35m/s、瞬間最大風速が約50m/sの暴風に相当
・稀に(50年に一度程度)発生する暴風による力:高さ10mの位置で平均風速が約30m/s、瞬間最大風速が約45m/sの暴風に相当
  • 等級2:極めて稀に(500年に一度程度)発生する暴風による力の1.2倍の力に対して倒壊や崩壊等せず稀に(50年に一度程度)発生する暴風による力の1.2倍の力に対して損傷を生じない程度
  • 等級1:極めて稀に(500年に一度程度)発生する暴風による力に対して倒壊や崩壊等せず稀に(50年に一度程度)発生する暴風による力に対して損傷を生じない程度
1-5 耐積雪等級(構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止):多雪区域のみ
屋根の積雪に対する構造躯体の崩壊、倒壊等のしにくさ及び構造躯体の損傷の生じにくさを表示
・極めて稀に(500年に一度程度)発生する積雪による力:新潟県糸魚川市を想定した場合、約2.0mの積雪に相当
・稀に(50年に一度程度)発生する積雪による力:新潟県糸魚川市を想定した場合、約1.4mの積雪に相当
  • 等級2: 極めて稀に(500年に一度程度)発生する積雪による力の1.2倍の力に対して倒壊や崩壊等せず稀に(50年に一度程度)発生する積雪による力の1.2倍の力に対して損傷を生じない程度
  • 等級2: 極めて稀に(500年に一度程度)発生する積雪による力に対して倒壊や崩壊等せず稀に(50年に一度程度)発生する積雪による力に対して損傷を生じない程度
1-6 地盤又は杭の許容支持力等及びその設定方法
地盤又は杭に見込んでいる常時作用する荷重に対し抵抗し得る力の大きさ及び地盤に見込んでいる抵抗し得る力の設定の根拠となった方法
1-7 基礎の構造方法及び形式等
直接基礎の構造及び形式又は杭基礎の杭種、杭径及び杭長

2. 火災時の安全

目的:人命と財産を守る為の措置が講じられているか

2-1 感知警報装置設置等級(自住戸火災時)
評価対象住戸内で発生した火災の早期の知覚のしやすさを表示
  • 等級4:評価対象住戸において発生した火災のうち、すべての台所及び居室で発生した火災を早期に感知し、住戸全域にわたり警報を発するための装置が設置されている
  • 等級3:評価対象住戸において発生した火災のうち、すべての台所及び居室で発生した火災を早期に感知し、当該室付近に警報を発するための装置が設置されている
  • 等級2:評価対象住戸において発生した火災のうち、すべての台所及び寝室等で発生した火災を感知し、当該室付近に警報を発するための装置が設置されている
  • 等級1:評価対象住戸において発生した火災のうち、すべての寝室等で発生した火災を感知し、当該室付近に警報を発するための装置が設置されている(消防法レベル)

※2-2~2-7 は共同住宅に関する基準のため省略します。

3. 劣化の軽減

目的:構造躯体等に使用される材料の劣化を軽減する対策が講じられているか

3-1劣化対策等級(構造躯体等)
構造躯体に使用する材料の交換等大規模な改修工事を必要とするまでの期間を伸長するために必要な対策の程度
・1世代は25~30年
  • 等級3:通常想定される自然条件及び維持管理条件の下で3世代まで伸長するため必要な対策が施されているか
  • 等級2:通常想定される自然条件及び維持管理条件の下で2世代まで伸長するため必要な対策が施されているか
  • 等級1:建築基準法の規定を満たしているか
木造の場合
木材は、腐朽菌によって腐ったり、シロアリに食べられたりして劣化することがあります。木造の場合はこの2種類の劣化を評価します。
鉄骨造の場合
鋼材は、水や大気中の汚染物質(二酸化硫黄など)によって錆びて劣化します。鉄骨造の場合は錆による劣化を評価します。
鉄筋コンクリート造の場合
鉄筋コンクリートは、鉄筋のまわりをコンクリートが覆っています。そして、鉄筋コンクリートは、コンクリートがアルカリ性を保っているうちは、鉄筋が錆びませんが、コンクリートが中性化してしまうと錆び、劣化します。また、寒い地域では、コンクリートの水分が凍って膨らみ、コンクリートが傷んだりして劣化します。鉄筋コンクリート造の場合は、この2種類の劣化を評価します。

4. 維持管理・更新への配慮

目的:給排水管、給湯管及びガス管の日常の維持管理を容易にするための対策の手厚さ、排水管の更新工事を軽減するための対策の手厚さ及び間取り変更を行うための必要な情報の提供

4-1 維持管理対策等級(専用配管)
専用部分の給排水管、給湯管及びガス管の維持管理(清掃、点検及び補修)を容易とするため必要な対策の程度を表示
  • 等級3:特に配慮した措置が施されているか(下記のすべての対策を講じた場合)
  • 等級2:基本的な措置が施されているか(下記の1と2の対策を講じた場合)
  • 等級1:その他
    1. 共同住宅等で他の住戸に入らずに専用配管の維持管理を行うための対策
    2. 躯体を傷めないで点検及び補修を行うための対策
    3. 躯体も仕上げ材も傷めないで点検、清掃を行うための対策

※4-2及び4-3は共同住宅に関する基準のため、省略します。

5. 温熱環境(省エネルギー対策)

目的:できる限りエネルギーの使用量を削減しつつ暖冷房を行うために、住宅の構造躯体の断熱措置などに十分な対策を施されているか

5-1 温熱環境(省エネルギー対策等級)
暖房器具に使用するエネルギーの削減のための断熱化等による対策の程度を表示
  • 等級は、下記のように、省エネルギー基準に基づいて判断します。
    • 等級4:平成11 年に制定された基準に適合する程度のエネルギー削減が得られる対策を講じた住宅
    • 等級3:平成4年に制定された基準に適合する程度のエネルギー削減を得られる対策を講じた住宅
    • 等級2:昭和55 年に制定された基準に適合する程度のエネルギー削減を得られる対策を講じた住宅
    • 等級1:その他

ただし、地域によって気象条件が異なるため、下記の6地域に分けて表示します。

  • 地域 北海道など
  • 地域 北東北など
  • 地域 南東北など
  • 地域 関東、東海、近畿、中国、四国、北九州など

  • 地域 九州など
  • 地域 沖縄など

6. 空気環境(シックハウス対策・換気)

目的
・住宅室内の水蒸気や代表的な化学物質の濃度を低減するための対策の基本的な手段と考えられる、 建材の選定と換気対策 の2つがどのように講じられているか。
・住宅の完成段階で室内の化学物質の濃度の実測結果がどの程度であったのか



6-1 ホルムアルデヒド対策(内装及び天井裏等)
居室の内装の仕上げ等からのホルムアルデヒドの発散量を少なくする対策を表示
  • 対策としては、以下の3つが採り上げられています。
    1. 製材等(丸太及び単層フローリングを含む)を使用する
      工業的にホルムアルデヒドを使用しない無垢材は、ホルムアルデヒドの発散による健康への影響を防止する上で有効な材料です。
    2. 特定建材(ホルムアルデヒドを発散する可能性のある材料として、建築基準法によりそのホルムアルデヒド放散量に応じて使用が制限されている建材)を使用する
    3. その他の建材を使用する
  • さらに、「特定建材を使用する」ことを明示する場合には、ホルムアルデヒド発散等級を表示します。
    ホルムアルデヒド発散等級
    1. 居室の内装の仕上げ等に使用される特定建材からのホルムアルデヒドの発散量の少なさを表示します(等級3~1)。
    2. 等級は発散量の少なさを示しており、日本工業規格(JIS)や日本農林規格(JAS)の基準と連携しています。

等級3ホルムアルデヒドの発散量が極めて少ない(日本工業規格又は日本農林規格のF☆☆☆☆等級相当以上)
等級2ホルムアルデヒドの発散量が少ない(日本工業規格又は日本農林規格のF☆☆☆等級相当以上)
等級1その他(天井裏等にあっては「-」と表示されます。)

6-2 換気対策
居室の換気対策
機械換気設備(建築基準法に適合)の有無、無い場合はその他(隙間が多い伝統的な構造・工法など)を表示します。
  • 機械換気設備 : 建築基準法施行令第20条の6第1項に適合する換気対策を有するものを対象としています。
  • その他 :上記に該当しない場合。
局所換気対策
換気上重要な便所、浴室及び台所のそれぞれについて、機械換気設備、換気窓の設置の有無を確認し、表示します。
6-3 室内空気の化学物質の濃度等:選択表示事項、建設住宅性能評価のみ
評価対象住宅の空気中の化学物質の濃度及び測定方法を表示
  • ここで対象とする化学物質は、健康への影響の可能性のある化学物質のうち「特定測定物質」として選定した、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレンです。
  • この項目を選択すれば、ホルムアルデヒドの測定は必須となります。

7. 光・視環境(窓の面積)

目的:開口部の面積と位置についてどの程度の配慮がなされているか



7-1 単純開口率
  • 居室の外壁又は屋根に設けられた開口部の面積の床面積に対する割合を「%以上」で表示します。
  • 開口部の面積とは、天井面も含めた開口部の面積の合計です。はめころし窓のように開放できないものであっても、光を透過する材料で作られていれば対象とします。
7-2 方位別開口比
  • 居室の外壁又は屋根に設けられた開口部の面積の各方位別ごとの比率を「%以上」で表示します。
  • 各方位とは、北、東、南、西、真上です。
  • ただし、住宅の開口部は、必ずしも、真北・真東・真南・真西又は真上を向いているわけではありませんが、ここでは、45 度までの範囲で斜め方向を向いた開口部についてもそれぞれ北・東・南・西の方向であるとみなします。
  • また、その方向に別の建物など、日光を遮るものがあるか否かを問うているものではありません。

8. 音環境(遮音対策)

目的:足音や物の落下音などの伝わりにくさ、話し声などの伝わりにくさ、騒音の伝わりにくさ等の措置が施されているか

8-4 透過損失等級(外壁開口部)
居室の外壁に設けられた開口部に方位別に使用するサッシによる空気伝搬音の遮断の程度を表示
  • 一般的な住宅の場合、外部騒音の室内への侵入や、室内騒音の外部への放射に関して、外壁に設けられた窓部分が最も弱点となることが多いことから、ここでは、外壁の窓などに使用するサッシを対象とし、東西南北の方位別に評価を行うことを定めています。
  • 方位別に評価を行うのは、住宅の外部の騒音発生源がどの方向にあるのかによって、遮音性の高いサッシを用いるか否かの判断がなされることに配慮したためです。
    • 等級3:特に優れた空気伝搬音の遮断性能(日本工業規格のRm(1/3)-25 相当以上)が確保されている程度
    • 等級2:優れた空気伝搬音の遮断性能(日本工業規格のRm(1/3)-20 相当以上)が確保されている程度
    • 等級1:建築基準法に定める空気伝搬音の遮断の程度が確保されている程度

※8-1~8-3は共同住宅に関する基準のため省略します。

9.高齢者への配慮

目的移動時の安全性の確保、介助のし易さへの措置が施されているか

9-1 高齢者等配慮対策等級(専用部分)
住戸内における高齢者等への配慮のために必要な対策の程度を表示
  • 等級は、「移動時の安全性に配慮した処置」の程度と「介助の容易性に配慮した処置」の程度を組み合わせて判断されます。
  • 移動時の安全性に関しては、以下のものを採り上げています。
    1. 垂直移動の負担を減らすための対策
    2. 水平移動の負担を軽減するための対策
    3. 脱衣、入浴などの姿勢変化の負担を軽減するための対策
    4. 転落事故を軽減するための対策
  • 各等級は、上記の1から4までの対策を組み合わせて、その手厚さの程度で評価しています。

    • 等級5:高齢者等が安全に移動することに特に配慮した措置が講じられており、自走式車いす使用者と介助者が住戸の玄関まで容易に到達することに特に配慮した措置が講じられている
    • 等級4:高齢者等が安全に移動することに配慮した措置が講じられており、自走式車いす使用者と介助者が住戸の玄関まで容易に到達することに配慮した措置が講じられている
    • 等級3:高齢者等が安全に移動するための基本的な措置が講じられており、自走式車いす使用者と介助者が住戸の玄関まで到達するための基本的な措置が講じられている
    • 等級2:高齢者等が安全に移動するための基本的な措置が講じられている
    • 等級1:住戸内において、建築基準法に定める移動時の安全性を確保する措置が講じられている
  • 介助を容易にするための対策としては、次のものがあり、等級3以上で求められています。より上位の等級になるにつれて、幅やスペースをより広くすることが求められるなど、余裕が増します。
    1. 介助式車いすでの通行を容易にするための対策
    2. 浴室、寝室、便所での介助を容易にするための対策

9-2は共同住宅に関する規準のため省略します。

10.防犯対策

目的:開口部の侵入防止対策がなされているか

10-1 開口部の侵入防止対策
住宅の開口部を外部からの接近のしやすさ(開口部の存する階、開口部の種類)に応じてグループ化し、その上で各グループに属する全ての開口部について、防犯建物部品を使用しているか否かを階ごとに表示
・防犯建物部品:防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議(官民合同会議)の目録掲載品等
  • この基準では、開口部の種類ごとに、それぞれの開口部を構成する以下の部分に防犯性能が求められます。

  • 開口部種類侵入防止性能が求められる部分
    玄関ドア、勝手口 開閉機構を有する開口部のうち、住戸の出入口として使用される開口部戸(侵入可能な規模の大きさのガラスがある場合は、そのガラス部分についても)、錠
    引き違い窓 開閉機構を有する開口部のうち、住戸の出入口として使用されない開口部 サッシ枠(2以上のクレセント等が装着されているものに限る。)、ガラス
    FIX窓開閉機構を有しない開口部ガラス

  • 評価の対象となる侵入可能な規模の大きさの開口部とは、住宅の内部に通じる開口部のうち、以下の大きさのブロックのいずれかが通過できる開口部です。
    • 400㎜×250㎜の長方形
    • 400㎜×300㎜の楕円形
    • 直径が350㎜の円

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