長期優良住宅/認定基準・方法
KANTAROおうち研究室

長期優良住宅

長期優良住宅とは、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」(2009年施行)に基づき、住宅を長期にわたり使用することにより、住宅の解体や除却に伴う廃棄物の排出を抑制し、 環境への負荷を低減するとともに、建替えに係る費用の削減によって国民の住宅に対する負担を軽減し、より豊かで、より優しい暮らしへの転換を図ることを目的として制定された規準を満たす住宅のことです。

長期優良住宅の認定を受けると、住宅関連の税制の優遇(所得税控除、固定資産税等)、住宅ローン金利の優遇、を受けることができます。

その求められる要件は、次の項目です。

  • 耐震性
  • 耐久性
  • 維持管理・更新の容易性
  • 住戸面積
  • 省エネルギー性
  • 居住環境
  • 維持保全(維持保全管理・住宅履歴情報の整備)

住宅性能表示制度の内容と合致する項目がほとんどで、適合検査機関も同じですので、同時に申請されると有利です。

認定基準

■耐震性

目的:極めて稀に発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷のレベルの低減を図る為



次の1~3のいずれかの措置を施されていること

  1. 住宅性能表示・等級2以上である
  2. 大規模地震時の地上部分の各階の安全限界変形の高さに対する割合をそれぞれ1/40以下である
  3. 免震建築物である

■耐久性

目的:数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できる耐久性を確保する為

次の3点を満たす措置が施されていること
  • 住宅性能表示・劣化対策等級3相当
  • 床下及び小屋裏の点検口を設置
  • 床下空間に330mm以上の有効高さを確保

■維持管理・更新の容易性

目的:設備、内装の維持管理(清掃・点検・補修・更新)を容易に行う為

以下の点を満たす措置が施されていること
  • 構造躯体等に影響を与えることなく、配管の維持管理を行うことができること
  • 更新時の工事が軽減される措置が施されていること

■住戸面積

目的:良好な居住水準を確保するのに必要な規模を有する為
  • 各行政機関により規準がことなります。

■省エネルギー性

目的:必要な断熱性能等の省エネルギー性能を確保する為

以下の点を満たす措置が施されていること
  • 住宅性能保証・省エネルギー対策等級4
  • 次世代省エネルギー基準に適合

■居住環境

目的:良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮する為
  • 各行政機関により規準が異なります。

■維持保全管理

目的:建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画を策定する為

以下の項目につき点検の時期、内容を定めること。
  • 構造耐力上主要な部分
  • 水の浸入を防止する部分
  • 給水・排水の設備
上記の項目につき、少なくとも10年ごとに点検を実施すること。又、地震時及び台風時に臨時点検を行うこと。

■住宅履歴情報の整備

目的:将来に亘って維持管理をし易くする為

建築及び維持保全の状況に関する記録を作成し、これを保存しなければならない
  • 長期優良住宅認定申請書および添付図面
  • 意匠関係図面(平面図、立面図、矩形図 等)
  • 構造関係図面(各種伏図、壁量計算書、N値計算書、接合金物リスト 等)
  • 仕様関係図面
  • 設備関係図面
  • 設備機器関係図面
  • その他必要と思われる図面

優遇措置

■住宅ローン金利優遇(住宅金融支援機構)


【フラット35S】(優良住宅取得支援制度)に申し込むことができます。通常【フラット35】の金利より当初10年間金利を1.0%優遇できるローンで、 長期優良住宅の認定を受ける内容であれば(長期優良住宅認定が条件ではありません)、適合検査を受け適用をうけることができます。また、長期優良住宅認定が条件で、 【フラット50】という超長期ローンに申し込むことができます。

■税制優遇

・住宅ローン減税(所得税控除)
平成21年度税制改正においては、過去最大規模の住宅ローン減税が実施されました。長期優良住宅については、所得税の最大控除額は600万円です。


【一般住宅の場合】
居住年控除期間住宅借入金等の
年末残高の限度額
控除率最大控除額
平成23年10年間4,000万円1.00%400万円
平成24年3,000万円300万円
平成25年2,000万円200万円

    
【長期優良住宅の場合】
居住年控除期間住宅借入金等の
年末残高の限度額
控除率最大控除額
平成23年10年間5,000万円1.20%600万円
平成24年4,000万円1.00%400万円
平成25年3,000万円300万円

※控除額が所得税額を超える場合は、一定額を、個人住民税から控除することができます。(当該年分の所得税の課税総所得金額等に5%を乗じて得た額(最高9.75 万円)を限度)


・所得税の特別控除(投資型減税)
住宅ローン減税を受けなかった方を対象として、標準的な性能強化費用相当額(上限1000万円)の10%相当額を、その年の所得税額から控除されます。
控除額がその年の所得税額を超える場合は、翌年分の所得税額から控除することができます。

・その他の税制優遇
【その他の税制優遇】
税の名称一般住宅長期優良住宅
不動産取得税の控除最大1200万円最大1300万円
登録免許税所有権保存登記 0.15%
所有権移転登記 0.3%
抵当権設定登記 0.1%
所有権保存登記 0.1%
所有権移転登記 0.1%
抵当権設定登記 0.1%
固定資産税の軽減当初3年間1/2(戸建)当初5年間1/2(戸建)

申請要領

■申請要領

必要図面を揃えて住宅性能評価機関に事前申請をし、適合証明書を交付してもらいます。その後確認申請と共に所管行政庁に提出し、 長期優良住宅の認定証を交付してもらいます。所管行政庁へ一括して申し込むこともできますが、その際は適合証発行まで確認の手続きが 止まりますので、結果的に認定証交付が遅くなります。

■必要図面


図書の種類 明記すべき内容
設計内容説明書 住宅の構造及び設備が長期使用構造等であることの説明
付近見取図 方位、道路及び目標となる地物
仕様書
(仕上げ表を含む)
部材の種別、寸法及び取付方法
各階平面図 縮尺、方位、敷地境界線、敷地内における建物の位置、申請に係る建築物と他の建築物との別及び配管に係る外部の排水ますの位置
床面積求積図 縮尺、方位、間取り、居室の寸法、階段の寸法及び構造、廊下及び出入口の寸法、段差の位置及び寸法、壁の種類及び位置、通し柱の位置、筋かいの種類及び位置、開口部の位置及び構造、換気孔の位置、設備の種別、点検口及び掃除口の位置並びに配管取出口及び縦管の位置
二面以上の立面図 床面積の求積に必要な建築物の各部分の寸法及び算式
断面図又は矩計図 縮尺並びに小屋裏換気孔の種別、寸法及び位置
基礎伏図 縮尺、構造躯体の材料の種別及び寸法並びに床下換気孔の寸法
各階床伏図 縮尺並びに構造躯体の材料の種別及び寸法
小屋伏図 縮尺並びに構造躯体の材料の種別及び寸法
各部詳細図 縮尺並びに断熱部その他の部分の材料の種別及び寸法
各種計算書 構造計算その他の計算を要する場合における当該計算の内容

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